お知らせ

 秋が深まり、木々が紅葉する時季を迎え、そして、爽やかな秋の日差しを感じる、今日の良き日に、

 茨城県議会議員 小泉周司 様

 那珂市長 先﨑光 様 様

 水戸市長 高橋靖 様

 茨城県産業教育振興会 会長 豊﨑繁 様

 茨城県農業協同組合中央会 会長 八木岡努 様

 常陸農業協同組合 代表理事組合長 秋山豊 様

をはじめ多くのご来賓の皆さまにご臨席を賜り、茨城県立水戸農業高等学校 創立130周年記念式典をかくも盛大に、かつ厳粛に挙行できますこと、本校にとりまして、この上ない喜びであり、感謝に堪えないところであります。

 さて、本校は明治28年(西暦1895年)4月に各郡の農事講習卒業者を対象とした「茨城県中央農事講習所」として開所いたしました。以降、専攻科や石塚分校の設置、農産加工科や分校普通科、生活科の新設、現在の那珂市への全校移転、自営者養成農業高等学校として文部省から指定を受けるなど、いくたびの学校再編や学科改編等を経て、現在は、農業科、畜産科、園芸科、生活科学科、農業土木科、食品化学科、農業経済科、そして昼間の定時制農業科、各学年それぞれ1学級を設置する定員数1000人の農業を専門とする日本一の農業高校です。

 また、県立高校では唯一の寮「学思寮」が設置されており、県内全域から農業に関わることを志す生徒を受け入れる体制も整っております。この学思寮は、県下唯一の甲種農学校として、明治37年に県内各地または他県から入学する生徒を受け入れる施設として開寮し、その後、昭和37年まで続きました。6年後の昭和43年から、現在の水戸市の歴史館のある地より、ここ那珂市の東木倉に移転した際、先にも触れましたが、当時の文部省からA類型の自営者養成高校の指定を受け、新たに学思寮が整備されました。

 明治28年の創立以来、一貫して実践的かつ科学的な農業教育とともに、時代に即した寮教育を行うなどし、本県に留まらず日本の農業教育の中核として、各界に多くの人材を輩出しております。

 明治、大正、昭和、平成、令和の5つの時代を、常に地域の皆さまに寄り添って頂きながら歩み続けた教育活動が、生徒一人一人の心の中にも書き留められ、そして、実を結んでいることと思いますと、私たち教職員も大変嬉しく感じております。

 生徒たちも、

  ・志操言行は常に至誠を以て一貫せんことを期すべし

  ・校規を恪守し師長を尊敬し学友相親しむべし

  ・質実にして勤労の美風を養うべし

  ・体力を鍛錬し学業を磨励し心身の健全を図るべし

  ・礼節を重んじ質素を旨とすべし

この5つの校訓と、「至誠」「勤労」「偕和」の校是のもと、多くの先輩方に囲まれ、じっくりと考え、学び、学校農業クラブ活動や部活動に励むなどして、自分の将来に向かって、未来の活躍を願って、有意義な高校生活を送っております。

 しかし、ここに至るまでには、教育活動の充実を図るための転換点がございました。それは、あらためてになりますが、ここ東木倉への全校の移転と自営者養成高校の指定です。

 全校移転が終了した昭和45年に、全国有数の模範的自営者養成高校としての規模と設備を完備した新しい農業高校が完成いたしました。そして、関連産業技術者の育成はもとより、本県農業の近代的農業経営者としてふさわしい資質と意欲を備えた人材の育成がはじまりました。

 移転の計画から終了、自営者養成高校の指定まで、当時の先輩方は、未来の輝かしい水戸農業高校の姿を描いていたことと思います。それから50年を越えた今、現在の水戸農業高校の充実した教育活動がございます。

 本校といたしましても、今後も50年、100年先を見据え、歴史と伝統を兼ね備え、高い農業の専門性を有する教育が求められる農業高校として、創立130周年にあわせ、本年度より「深い学び」と「心の成長」、この2つの実現を目指す「水戸農業高等学校 未来50年プロジェクト」事業に取り組み始めております。

 このプロジェクトは、同窓会、PTA、県教育委員会などからの温かいご支援により、構築できた事業です。   

 主な内容といたしましては、

  ・茨城大学、東京農業大学、酪農学園大学などと連携し、教科・横断的な学びに   関連付けた「農業探究セミナー」

  ・スクールカウンセラーなどを招聘した自分を見つめる他者を理解する「豊かな人間   性を育むワークショップ」などの活動です。

  ・さらに、同窓会やPTAの力強い組織力を活かした「水戸農PTA同窓会応援団」も設けられ、その中で、検定試験の補助制度を開設したり、定期的に登下校の見守り   を実施したり、このたびの周年行事でもあります「パネルディスカッション」を催したりす   るなどした活動もございます。

 こうした事業は、他者と協働して課題を解決する力はもとより、共感的な人間関係を育成する力にも結び付き、そして、将来の、地域・茨城・日本・世界で活躍するための素養を培うことのできる活動と考えております。本校のホームページやSNSでもご紹介して参りますので、機会がございましたら、是非、ご覧いただければ幸いです。

 結びになりますが、水戸農業高校の卒業生の総数は3万人を超えております。その中の多くの方が産業界等でご活躍をされております。

  生徒たちも、先輩方のご活躍に追いつくため、教師の指導のもと、爽やかな笑顔と心で、あるいは、悲しさ、悔しさを感じ涙を流すなどして、何事にも懸命に取り組んでおります。

 未来の水戸農業高校の歴史のページには、今後も、多くの生徒の活躍が卒業生として綴られることになるでしょう。

 長い年月の中で培われた伝統を継承しながら、地域の実状を踏まえ、農業教育を通じて、生徒一人一人が、郷土を愛し、将来にわたって互いに協力し合い、地域の産業や文化の振興等に寄与できるよう、引き続き、皆さまのご支援ご協力を頂き、時代に合った生徒第一の教育活動に取り組んで参りますことを、お誓いいたします。

 水戸農業高校の同窓会の皆さま、PTAの皆さま、地域並びに関係者の皆さま、そして生徒一人一人のご健勝とご多幸をお祈りし式辞といたします。

 

令和7年10月29日(水)

 

             茨城県立水戸農業高等学校長 堤祐二(第35代)