本校は、明治28年に創立以来一貫して実践的な農業教育を行い、本県の農業教育の中核として各界各層に多くの有為な人材を輩出しております。
その一翼を担ってきたものがあります。
それは、学思寮です。学思寮の歴史は明治までさかのぼります。
学思寮は、県下唯一の甲種農学校として県内各地または他県から入学する生徒を収容する施設として、南寮と食堂・ 炊事場・浴場等が明治36年1月に、中寮が同年9月に、北寮が翌年10月に、今の水戸市緑町に竣工しました。
そして、南棟の竣工後の明治36年2月14日に開寮しました。
戦時中、戦後の混乱期も、寮生は苦労し規律正しい生活をおくり、それぞれの地域の農業自営者としての決意を心の中に宿してきましたが、残念ながら、昭和25年に北寮が、33年に中寮が、37年に南寮が解体され、学思寮は消滅することになりました。
しかし、昭和43年に水戸市より現在の那珂市に移転した際、当時の文部省からA類型の自営者養成高校の指定を受け、新たに寮が整備されました。これが、現在の学思寮となります。(平成23年3月11日に発生した東日本大震災におきまして、学思寮も被災し、食堂などを改修しました。)
現状として、長期入寮生(自宅が遠方で通学が困難な生徒)を除くと、農業科、園芸
科、畜産科の3科が義務入寮を実践しています。
ここで、現在の寮教育について紹介します。
(1) 目標
本校の教育目標にそって、共同生活を通じ、近代的農業経営者にふさわしい有能な
人材を育成する。
(2) 方針
次の①から⑦を踏まえ、望ましい環境と厳正な日課の中で、教師と生徒並びに生徒
相互の触れ合いが行われ、ともに学び、ともに考え、協力し合って、社会性と人間性
の重要さを体得しながら、農業経営者としての資質の向上を図る。
① 寮則にもとづき秩序ある、しかも明るく楽しい生活を通して、望ましい人間関係
の育成に努める。
② 自治活動の実践を通して、自主・責任を重んずる習慣を養う。
③ 健康管理に留意し、強固な身体と気塊に富んだ実践力を養う。
④ 講習会、討論会等の行事を通して、自主・責任を重んずる習慣を養う。
⑤ 各種集会の企画運営と指導力の育成を図る。
⑥ 余暇の善用と個性の伸長に努める。
⑦ 将来、農村の中堅指導者として、情操豊かな人間性の育成に努める。
本校では、歴史ある寮教育や教科活動、特別活動等を通じて、寮生も通学生も、ともに切
磋琢磨し、将来の農業者(農業経営者や農業技術者)としての心構えを身に付けています。
令和7年6月6日(金) 校長 堤祐二
ここで、学思寮を紹介します。